来シーズンのCFBの展望及びカンファレンス間の移籍について

 

 

昨年度から、カンファレンス間でのチーム移動が激しさを増しています。

 

そして、来シーズンには、Power-5と言われるFBSのトップカンファレンス間でも、移籍が多く発生します。

 

今回は、そのカンファレンス間でのチーム移動をまとめつつ、若干早いですが、来シーズンの展望をカンファレンスごとにしていこうと思います

 

 

 

 

 

 

 

 

1. Power-5 Conference

 

・SEC (Southeastern Conference)

 

In: Oklahoma, Texas (from Big 12)

Out: ❌

 

Stay: Alabama, Arkansas, Auburn, Florida, Georgia, Kentucky, LSU, Ole Miss, Miss State, Missouri, South Carolina, Tennessee, Texas A&M, Vanderbilt

 

現在Power-5の中でも、最強カンファレンスの呼び声高いSECですが、来年からは、TexasOklahomaという歴史のある2校がBig 12から加入することになりました。Texasは今年のCFPにも出場しましたし、またOklahomaも近年NFLドラフト全体1位QBを2年連続で輩出する(Baker Mayfield, Kyler Murray)などしていて、2校とも強豪校の一つとして数えられています。この2校が加入することで、さらにSECの独壇場が続きそうな気がしています。

www.cbssports.com

 

展望: 来シーズンは、この2校が加わることで、より面白い試合が増えてきそうです。今シーズンCFPに出場したAlabamaは、名将Nick Sabanの引退により、HCがWashington大のKalen DeBoerに変わりました。これの影響で、有力選手の一部がすでにTransfer Portalに入っているため、昨シーズンの12勝からどこまで勝ち星を維持できるかが注目です。一方、CFPに惜しくも出られなかったGeorgiaは、TEのBrock Bowersというオフェンスの要を失いますが、来シーズンも強さを維持できると考えています。SEC内での、最有力校と言えるでしょう。また、Ole Missも、Transferで補強を行なったことで、かなり力をつけてきています。しかし、絶対的エースRBのQuinshon Judkinsが、Ohio StateにTransferで移籍したため、大きな痛手となっています。そして、強豪LSUは、今年Heisman賞を獲得したQBのJayden Danielsと、Malik NabersとBrian Thomas Jr.の強力レシーバー陣を失った穴を埋めれるかが鍵になります。

新たにSECに加入したTexasは、先発レシーバー3人がNFLへ行ってしまうものの、先発QBのQuinn Ewersが残留することやAlabamaからWRのIsaiah Bondが加入することなどから、来季もCFPへ行ける戦力を持っていると言えそうです。ただ、個人的には、Arch Manningが来季も控えQBとなってしまうことが残念です。また、Oklahomaは、先発QBが昨年の5⭐️のJackson Arnoldに変わるため、チームの命運は彼にかかっていると言っても良いと思います。

 



・Big Ten Conference

 

In: UCLA, Oregon, USC, Washington (from Pac-12)

Out: ❌

 

Stay: Illinois, Indiana, Iowa, Maryland, Michigan, Michigan State, Minnesota, Nebraska, Northwestern, Ohio State, Penn State, Purdue, Rutgers, Wisconsin

 

今シーズン9年ぶりに、Big TenからNational Championを輩出することができました。これで、SECに肩を並べることはできないものの、Power-5でも力を持つカンファレンスとなることができました。そして、Pac-12の中でも強豪かつ名門の4校が、来シーズンから加入することになります。2022年にUSCUCLAが移籍を発表し、その翌年の2023年にOregonWashingtonが遅れて移籍を発表しました。これによって、Big Tenは18校体制になります。また、これでBig Ten Championshipsが塩試合になることもなさそうです。

bigten.org

 

展望: National ChampionとなったMichiganですが、来シーズンCFPに進む確率は50-50と言えそうです。それは、QBのJJ McCarthyがNFL行きを決めたことや、HCのJim HarbaughもNFLへ復帰する可能性が浮上しているからです。もしそうなれば、2敗以上は避けられそうになく、CFP進出は不透明と言えそうです。その一方で、ライバルのOhio Stateは、NFL行きを取り止め大学に戻ってきた選手が多く、またTransferでもしっかりと補強できており、Big Ten内での最有力とも言えそうです。他には、Penn StateもBig Tenでの優勝候補と言えそうです。2025年NFLドラフトで全体1位の呼び声高いQBのDrew Allarを筆頭に、Ohio StateからTransferで加入したWRのJulian Flemingなど、Ohio Stateには及ばないものの良いメンバーが揃っています。また、Oregon StateからHCとQBを呼び寄せるなど、大変革を行なったMichigan Stateも注目です。

新たに加入したチームで言うと、Oregonがかなり注目です。QBのBo NixがNFL行きを決めたものの、OklahomaからDillon Gabrielと、UCLAからDante Mooreという2人の非常に優秀なQBをTransferで獲得しました。Gabrielは来年の先発QB、Mooreは将来のトップQBとして扱うかと思います。また、Texas A&Mから将来のスターWR候補のEvan Stewartも補強しています。昨年よりもよりレベルアップしていて、National Championも十分狙えるメンバーだと思います。一方、ライバルで、今年National Championshipに出場したWashingtonは、HCの交代などで選手の流失に歯止めがかかっておらず、苦しいシーズンになりそうです。また、USCは、スターQBのCaleb WilliamsがNFLへ行くことと、元5⭐️のMalachi NelsonがTransferでBoise Stateへ移籍したことによるQB問題や、昨シーズン酷かったディフェンスをどう直せるかが鍵になりそうです。

 

 

 

・Big 12 Conference

 

In: Arizona, Arizona State, Colorado, Utah (from Pac-12)

Out: Oklahoma, Texas (to SEC)

 

Stay: Baylor, BYU, Cincinnati, Houston, Iowa State, Kansas, Kansas State, Oklahoma State, TCU, Texas Tech, UCF, West Virginia

 

昨年、AACなどから4校を新たに迎えましたが、今年もPac-12から4校が新たに加入することになります。一方で、OklahomaTexasというBig 12の中心的存在とも言える2校が、いなくなったインパクトは非常に大きいです。このインパクトは、4校の加入だけで埋めきれるほどの大きさではありません。ただ、カンファレンス間での移動で生じるパワーバランスの変化の波にあまり巻き込まれなかったのは、この2年間で8校を加入させられたからだと思います。

big12sports.com

 

展望: TexasとOklahomaがいなくなったことで、Pac-12から加入したチームの独壇場になる可能性があると思います。その中でもOklahoma Stateは、かなり有力な候補と言えると思います。今シーズンの快進撃を支えたRBのOllie Gordon IIが残る他、先発QBのAlan Bowmanが7年目の資格を得ることができたため、来季も先発することが予想されます。他にも、KansasKansas Stateも候補だと思います。

新しく加入したチームの中では、Utahが最有力だと言えます。先発QBのCameron Risingは、一昨年のRose Bowlで負ったACL断裂の怪我で今シーズンは全休し、特例で7年目のキャリアを迎えます。全体的にメンバーが変わることが予想されますが、地力のあるチームなので、それほど問題ないと思います。また、Arizonaは、Utahを倒せる可能性のある唯一のチームと言えると思います。昨年覚醒したQBのNoah Fifitaを筆頭に、パスオフェンスは非常に強いです。ただ、HCのJedd FischがWashingtonの新HCに就任したことで、Transferでの流失が出てきているのが心配です。ただ、チームの核とも言えるFifitaとNo.1 WRのMcMilanの2人が残ったのは、非常に大きいです。優勝候補になるかは分かりませんが、Prime (Deion Sanders)が率いるColoradoも注目です。先発QBでPrimeの息子のShedeur Sandersは、2025NFLドラフトの1巡候補に上がっている他、またWRとCBの二刀流を行っているTravis Hunterなどの注目選手が多くいるため、注目度は高いです。ただ、昨年も開幕から調子が良く注目度がかなり高かったですが、その後の大失速で期待を裏切られたということもありました。

 

 

 

・ACC (Atlantic Coast Conference)

 

In: California, Stanford (from Pac-12) SMU (from AAC)

Out: ❌

 

Stay: Boston College, Clemson, Duke, Florida State, Georgia Tech, Louisville, Miami (FL), North Carolina, NC State, Pittsburgh, Syracuse, Virginia, Virginia Tech, Wake Forest

 

Pac-12の崩壊を受けて、東海岸のカンファレンスではありますが、CaliforniaStanfordが西海岸からやってきました。Big TenとBig 12への移籍は想定内でしたが、東海岸のACCへの移籍は驚きでした。また、AACからSMUが移籍してきました。逆に、出て行ったチームはありませんでしたが、落ち着いていられないのが今のACCの状況です。その理由は、Florida Stateが全勝でACC Championとなりましたが、CFPに出場できませんでした。先発QB Jordan Travisの怪我による離脱が影響したとは言えど、Power-5で全勝のチームがCFPに出られなかった(1敗のチームにも抜かれた)のは衝撃でした。それを受けて、Florida Stateが他のカンファレンスに移籍するのでは?という噂も流れました(昨年からありましたが)。これの理由には、放映権料による分配金が他より少ないということもあるようですが、ACCがPower-5内のパワーバランスで最下層に置かれてしまったことは事実です。今回のカンファレンス間の移籍の波では、吸収する側に回りましたが、次回起こった時には、吸収される側に回っても不思議ではありません。

theacc.com

 

www.cbssports.com

 

展望: 最有力は、今シーズンの王者のFlorida Stateだと思います。先発QBのJordan Travisを始めとして、多くの選手がNFLやTransferで去りましたが、その分しっかりとTransferでカバーしたと思います。特にQBで言うと、Oregon StateからQBのDJ Uiagaleleiを獲得しました(元Clemson所属だったので、ACCには2シーズンぶりに復帰)。今シーズンほどの力はないですが、ACCを制するのには十分だと思います。また、Clemsonも候補の一つです。ここ数年は毎年CFPのチャンスがあると言われながら、結局Trevor Lawrenceがいなくなった後は出場できていません。QBのCade Klubnikにとっても、勝負の年になりそうです。

 

 

 

・Pac-12 (Pac-2?)

 

In: ❌

Out: UCLA, Oregon, USC, Washington (to Big Ten) Arizona, Arizona State, Colorado, Utah (to Big 12) California, Stanford (to ACC)

 

Stay: Oregon State, Washington State

 

今回の波によって、伝統のPac-12が崩壊してしまう形になりました。名称がどうなるかは分かりませんが、12校からたった2校になってしまいます。原因は主に2024年シーズン以降の放映権の問題で、ESPNなどのTV局も継続オファーを出したものの額が低く却下され、その後Appleが良い価格で提示したものの配信のみという理由で却下され、結局放映権が決まらずという状況が続いてしまいました。

来季からは2校になってしまいますが、スケジュール的には、MWC(Mountain West Conference)というFBSではあるもののPower-5の1個下のGroup-5にあたるカンファレンスと提携する形になりました。この提携によって、MWCとの試合をそれぞれ年7試合行いますが、MWCに入るという形ではなく、あくまでNon-Conferenceの試合として行うというものだと思います。果たして、今後もこの形を維持するにかは分かりませんが、どちらにしてもこの2校は苦しい状況に置かれてしまっています。

www.cbssports.com

 

展望: この2校だと、Oregon Stateが有利だと思います。昨年も上位に入るなど、Pac-12内でも力をつけてきたチームです。特にRBのDamien Martinezを中心としたラン攻撃は非常に強く、来シーズンも健在だと思います。HCとQBがそれぞれMichigan Stateに移籍しましたが、そこまで戦力に大きく響いてはいないように思えます。

 

 

 

2. まとめ

 

視聴者としては、来シーズンは今まであまり実現してこなかった対戦カードの試合が多く観れることや、CFPが12チームに拡張されるなど、楽しみな点もあります。

 

この波が一旦これで収束するのか、それともまだまだ続いていくのか、注目です。