OC Shane Waldronを解雇すべきか?

 

 

今回は、現在 SeahawksのOC (Offense Coordinator)のShane Waldronを変えるべきかということについて、述べていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

1. Shane Waldronについて

 

彼は、現在44歳で、2021年からシーホークスのOCを務めています。そして、今年で3年目を迎えました。

 

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チーム名

職名

20052015

Patriots, U Massなど

TE, WR, OLcoachなど

2016

Redskins

Quality coach

2017

Rams

TE coach

2018

 

Pass game coordinator

2019

 

 

2020

 

 

2021

Seahawks

Offense Coordinator

 

NFLのコーチとなったのは、2002年で、Patriotsでした。Patriotsでは、計5年間勤め、Belichickの元でコーチ経験を積みました。その後、カレッジでコーチを務めた後、2016年にCommanders (当時のRedskins)のOffensive quality control coachとなりました。その当時CommandersのOffense coordinator を勤めていたのは、Sean McVayでした。そのMcVayが、翌年にRamsのHead Coachに就任すると、WaldronはMcVayと共に、Ramsへ移籍しました。初年度の2017年は、Tight End Coachを務め、翌年の2018年から2020年にかけては、RamsのPass Game Coordinatorを務めていました。

 

そして、その翌年の2021年に、当時シーホークスのOCだったBrian Schottenheimer(現 Cowboys OC)が解雇されたことに従って、シーホークスのOCとなりました。その当時、Russell Wilsonとフロントの対立が少なからず合ったようですが、この決定にはWilsonの意見が反映されていたようです。

 

 

この経歴から分かる通り、Goff時代のRams Offenseを経験しています。その当時のRams Offenseのスタイルは、モーションを使いながら、ランとプレイアクションを多く使うオフェンスです。また、2017年にTE Coachを務めていたことから分かる通り、彼の専門はTEです(WRやOLコーチ経験もありますが、TEが一番多い)。

 

ここで述べた2つのポイントは、彼がシーホークスのOCになってからも重要視したポイントです。昨年のオフェンスでは、3 TEフォーメーションやプレイアクションを多用するオフェンスを展開していました。これが、彼の得意としているオフェンスと言えます。

 

 

 

2. Waldronを解雇すべきか?

 

それでは、本題に入ります。

 

ここ最近の試合では、オフェンスが上手くいかずに足を引っ張る場面が増えてきています。これには、様々な原因が考えられるかと思います。

 

私個人としては、今まで用いてきたTEを効果的に使うWaldron本来のオフェンスを、Bye Week明けに 3 WRをメインにしたショットガンオフェンスに変えてしまったことが原因だと思います。変えてしまった理由としては、今年1巡ルーキーで入ったSmith-Njigna をはじめとしたレシーバー陣を活かすプレイを重視したからです。実際、Week 4まではSmith-Njigbaはあまり活躍していませんでした。しかし、Bye Week明けにオフェンスのスタイルを変えてからは、1試合平均で4キャッチ50 yds、毎試合最低でも35 ydsを獲得するようになりました。また、49ers戦での活躍を受けて、さらに使う回数を増やしていくとキャロルHCは述べています。

 

そして、今週の49ers戦でも変わらず3 WRのプレイコールが多かったです。後半に入ると、ようやくTEを2人置いた体型を使い始めました。そのフォーメーションからのプレイアクションが有効に使えていたので、明らかにスタイルが変わったことが原因だと私は判断しました。先ほども述べましたが、元々Shane WaldronはRamsのPass Game Coordinator (QBがGoffの時代)だったため、ランとプレイアクションを交えるオフェンスを得意としていて、昨年もこのスタイルで非常に良いオフェンスを展開しました。しかし、今は本来のWaldronが得意とするスタイルでは無くなってしまっています。Waldronのコールが最近上手くいかなくなっているのもこのためです。

 

 

 

これを解決するためには、Smith-Njigbaを諦めて2TEをメインとする元のスタイルに戻すか、ショットガンオフェンスを展開するOCに変えるかです。私個人的には、Waldronのオフェンスはプレイの幅が広く、多彩なコールがあり、好きなのですが、今のシーホークスのオフェンススタイルに合っていないことは明らかです。しかし、今季中に3 WR中心のオフェンスを変えることもOCを変えることも現実的に難しいため、今シーズンは、今のままで行くしかないと思います。

 

 

 

それでは、果たしてWaldronを解雇すべきなのかですが、私個人的には、来年のドラフトでQBを取るのであれば、OCも同時に変えるべきだと思います。なぜなら、近年ドラフトされるQBは、ほとんどがショットガンオフェンスを経験しているため、Waldronのスタイルに合うQBはほとんどいないからです。さらに、今年のドラフトでシーホークスが取るであろう候補を見てみても、全員がハイパワーのショットガンオフェンスを展開しています。もちろん、NFLに来てからスタイルを変えることも可能ですが、それによりそのQBの持ち味や武器が消えてしまう可能性もあります。ただ、Waldronは優秀なOCのため、彼以上のOCを見つけることは非常に困難です。逆に、Waldronが引き抜かれる可能性も十分にあります。

 

 

ここで、WaldronがOCに就任したときの過程を振り返ってみましょう。

 

彼の前任者としていたのが、Brian Schottenheimer (現在Cowboys OC)でした。彼の最終年である2020年は、いわゆるLet Russ Cookの時代で、Wilsonのパスに比重を置いて、ショットガンを中心としていました。Schottenheimerが入ってきた当初は、リーグ1位のランオフェンスを誇っていたのですが、だんだんとPass中心のオフェンスへと傾倒していきました。2020年の序盤は、それが機能し上手く進んでいたのですが、徐々にターンオーバーが増え、得点が取れなくなることも多くなりました。

 

それでも、NFLの中ではTop 10に確実に入るようなオフェンスでした。ただ、キャロルHCとしては、ランを中心としたオフェンスに戻したいということがあったようで、OCと意見の食い違いがありました。

 

そこで、再びランを中心としたオフェンスに戻すため、Schottenheimerを解雇し、WaldronをRamsから呼び寄せました。その当時のRamsは、ランとプレイアクションを織り交ぜたオフェンスで、キャロルHCの思い描くオフェンスでした。

 

 

ここから言えることとしては、まずキャロルHCはやはりランオフェンスを軸に考えているため、Waldronのスタイルを気に入っているということです。そのため、OCを変えたとしても、パスヘビーのOCにはおそらくしないと言うことです。

 

また、現在ショットガン中心のオフェンスになっていますが、このままシーズン終盤までこの状態が続くようだと、当時のようにランとプレイアクションを軸にしたオフェンスに戻す可能性があるということです。そうなれば、Waldronがこのスタイルのオフェンスを使うOCではNFLで1番だと考えていいと思うので、残留する可能性があるということです。

 

 

ただ、やはり現在の戦力や将来的にQBを獲得することを考えると、パスヘビーまで行かなくとも、ショットガンオフェンスにはしていくべきだと思います。そのためには、Waldronではなく、他のOCを起用して戦うべきだと思います。Genoであと数年勝負するならば、WaldronをOCとしてランとプレイアクションを軸としたオフェンスで行ってもいいかとは思いますが、そうなるとは思えません。

 

 

結論としては、Shane Waldronを解雇せざる得ないと考えます。

 

 

 

 

3. シーホークスの将来

 

ここで、少し話はそれて、シーホークスの将来の話をしようと思います(個人的な意見多めですが)。

 

 

さっきまでは、オフェンスの停滞はWaldronの責任であるという話をしていました。ですが、責任はGenoであるという意見の人も増えてきています。私は、一番責任があるのは彼ではないと思います。実際、プレッシャー%は去年より上がっていますが、サック率は昨年の半分と、ポケットでいい動きをしています。また、インターセプトなどのミススローはあるものの、良いスローも多く、また逆転ドライブを決めることも多くなるなど勝負強くなりました。

 

ですが、Genoでは限界があるという意見は最もだと思います。実際、プレイ自体は昨年とあまり変わりませんが、昨年よりスタッツは下がっています。どちらにしても、昨年より良くなっていることはなく、チーム自身もプレイオフに出場することが限界でしょう(ディフェンスをLoBの状態にすれば、スーパーボウルまで行けるだろうが...)。また、年齢が33であることや、いつでも解雇できる契約の仕組み(Dead Moneyの額が多くない)になっていることを鑑みると、シーホークスとしても彼で勝負しようとは思っていないはずです。

 

このようなことより、あと2年以内にはドラフトでQBを指名する方向に動いていることは確かです。これで、ドラフトでQBを取らなかったら逆にショックです。

 

 

ここからは完全に個人的な願望です。

 

個人的には、やはりWashingtonのMichael Penix Jr.を取って欲しいです。彼は、優れたパス能力を持っている他、クラッチ力も非常に高いです。特に、ディープパスの正確性は、すでにNFLでも通用するレベルです。彼の場合だと、ハイパワーのショットガンオフェンスを展開していて、オフェンス全体を見てもパス比重が高いです。シーホークスの指名候補となるQBの中では、一番アンダーセンターでスナップを受けることが多いですが、プレイアクションからのブーツレックを有効に使えるQBとは思えません(逆に、プレイアクションからディープパスを狙うタイプのQBです)。


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また、OCにもWashingtonのRyan Grubbを起用させたいです。パス中心のWashnigtonということもあり、パスコールが非常に多彩で、モーションを多用します。ただ、最近はランも多く活用していて、パスヘビーという訳ではありません。そして、重要なキーシチュエーションでのコールが冴え渡っています。